江戸川区葛西のギタリスト税理士 中村剛士です。
今日は、今月申告のお客様の決算報告&電子申告を行いました。
といっても、大学時代の友人なので、かなりフランクな感じでしたがw
普段は、私が友人のところへ行って打ち合わせ等するのですが、
今日は事務所を見に来るということもあって、北千住から葛西まで来て貰いました。
このタイミングでは、決算報告の他に、進行期の役員報酬をどうするか検討します。
諸々検討して、現状ママとしましたが、
今日は『何故役員報酬の変更はこのタイミングなのか』
についてお話ししたいと思います。
役員報酬は経費にならない?3つのルールの話。
『役員報酬は経費にできない』と言ったらビックリしますよね?
しかし、基本的には経費にさせないというのが国の方針です。
なぜなら、役員は実質的な経営者(オーナー)である場合が多く、
自分の報酬を自分で決めることができる以上、
『利益調整に繋がる』と国が考えているからです。
もし、皆さんが会社を経営しているとして、
自分の報酬を自由に設定できるとしたら、どうしますか?
数字見ながら、個人の税金と会社の税金の合計が
ミニマムになるように調整しませんか?
私ならそうしますw
国としてみると、これではたまったものではないですね。
そこで、基本的に経費にはしたくないけど、さすがにそれはやり過ぎだから、
『あるルールに従っていれば、それは経費にしてあげよう』
という形で落ち着いています。
そのルールとは、下記の3つです。
① 定期同額給与
② 事前確定届出給与
③ 業績連動給与
この3つのルールに従うなら、その役員報酬は経費にすることができます。
以下で一つずつ見ていきますが、
③ 業績連動給与は上場クラスでないと関係ありませんので、今回は割愛します。
定期同額給与とは?
定期同額給与とは、その名の通り、
『定期的』に『同額』が支払われるモノをいいます。
この場合の『定期』とは、『毎月』と思っていればOKです。
「役員報酬は年の途中で変えられない」という話を聞いたことがありますか?
それは、この定期同額給与の話です。
その支給時期が1か月以下の一定の期間ごとである給与(以下「定期給与」といいます。)で、 その事業年度の各支給時期における支給額又は支給額から源泉税等の額を控除した金額が 同額であるもの
国税庁HP<役員に対する給与>より抜粋
上記のように規定されていますので、毎月の支給額が同額でないと経費にできないのです。
しかし、毎年の報酬がずっと変えられないというのもおかしな話ですので、
変更できるタイミングをいくつか設けています。
① 定時改定
② 地位変更等による改定
③ 業績悪化による改定
の3つです。
① 定時改定とは?
冒頭の話がまさにそれなのですが、毎年の定時株主総会で変更するパターンです。
「昨年度の数字はこうです!こんなに儲かりました!
つきましては私の報酬を上げてください!」
といった感じでしょうか。
通常は決算から2ヶ月以内(3ヶ月以内の会社も有り)に株主総会を行いますので、
そこから来年の株主総会までの報酬を決める事になります。
② 地位変更等による改定とは?
これは、レアケースだと思いますが、
年度の中途に、何らかの理由で社長を降りたとか、
普通の取締役から代表取締役に変更になったとか、
そんなケースです。
当然、地位や責任が変わってきますので、
それに見合った報酬になるのは当然でしょ?ということで認められています。
③ 業績悪化による改定とは?
読んで字の如く、業績が悪くなってしまい、
役員に報酬出してる場合じゃない!というときに認められます。
ですので、減額変更しか認められません。
この業績悪化の理由ですが、結構厳しめになっていますので、
こっちの主観で「ちょっと業績悪いから、報酬下げとくか」みたいな使い方はできません。
事前確定届出給与とは?
これも、読んで字の如く、事前に届出を出せばOKとなる制度です。
届出に記載した日に記載した金額を支給することで、経費にすることができます。
注意点としては、『記載した日』と『記載した金額』は絶対だということです。
1日でも、1円でもズレたらアウトで、経費になりません。
極端な話、『12月10日に100万円払います』と届出を出したところ、
『実は12月10日が日曜日だったので振り込みが11日になった』
だけでアウトになります。
あまりにも面倒なので、あまりやりたがらない税理士が多いですが、
役員にもボーナスが欲しいぜ!というときには有効な手段です。
ただし、事前確定届出給与と言うくらいですから、
届出期限が決まっています。
①株主総会から1ヶ月以内
②その年度開始の日から4ヶ月以内
のいずれか早い日ですので、基本的には①になると思います。
ということで、『事前確定届出給与は年度開始から3ヶ月!でもなる早で!』
と覚えておきましょう。
編集後記
ということで、役員報酬の変更のタイミングの話でした。
定期同額給与にせよ事前確定届出給与にせよ、
株主総会が絡みますので、このタイミングで検討が必要ということですね。
役員報酬を上げられるのは非常に良いことですが、
上げすぎると逆にトータルの税負担が増えたりしますので、
慎重な検討が必要です。
いくらが適正なんだよ?と気になった方は
顧問税理士に『個人と法人のトータルの税負担が一番少なくなるように』
と言ってシミュレーションさせると良いでしょう。
反応できない税理士など変えてしまえ!くらいのつもりで良いと思います。
もちろん、私にご依頼いただいてもOKですw