過度な相続対策に赤信号?評価通達6項が摘要!

税金の話
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2019年8月30日(金)

こんにちは!江戸川区葛西のギタリスト税理士 中村剛士です。

今日は昨日愚痴った宴会の日です。

メンバー内でゲームをやっていて、
その集計が今日までとなっています。

そのため、今日の朝会が終わってから宴会までに
点数集計をして、なおかつ結果発表までやらなければいけないという、
結構ギリギリのラインを狙いました。

かなり盛り上がったので、
昨日愚痴った甲斐があったなとw

もう疲れたので、しばらく宴会はいいやw

さて今日は、相続はやらないと公言している私でも
気になる判決が出ましたので、それをシェアしたいと思います。

(宴の前に)

国税庁長官の指示で節税対策が認められず。

相続税は簡単に言うと、財産ー債務=『正味財産』に対して課税されます。

今回のケースではこんなことが起こっています。

・賃貸用不動産を8億3,000万円と5億5,000万円で取得
・借入金残高は約10億円
・取得した不動産の相続税評価額は3億3,000万円

他にも結構な財産をお持ちの方のようですが、
単純にするためにこれだけでお話ししますと、
財産が3億3,000万円の評価で負債が約10億円ですので、
正味財産は0円(マイナスにはならない)です。

結果として相続税はかからないという計算になります。

お亡くなりになる3年程前に購入したようですが、
3年で13億8,000万円が3億3,000万円になっています。

こんなことあるの?とお思いかも知れませんが、
普通にあります。

それは13億8,000万円は時価で、
3億3,000万円が相続税評価額だからです。

以前ブログにも書きましたが、
土地は路線価を基準に評価しますし、
建物は固定資産税評価額を基準に評価します。

結果として時価とは乖離してしまうんですね。

今回のケースは、この3億3,000万円という評価額が
余りにも低すぎるということで、税務署からストップがかかりました。

『評価通達の定めにより評価することが著しく不適当な場合に
国税庁長官の指示で評価する定め』

という財産評価通達6項の規定を適用しています。

裁判所の判断

時価と評価額が4倍程度乖離している点と
銀行から借り入れしたときの経緯に着目しています。

銀行の貸し出し稟議書に『相続税対策のため』ってバッチリ記載があったようですw

ここから、『他の納税者との間における租税負担の公平性を著しく害する』
と判断されました。

結果、不動産鑑定士による評価額の12億7,000万円という金額が適正であるとした
税務署側の勝利となりました。

これ、納税が何億になるんだろうw
詳しい情報がのってなかったので分かりませんが、
興味は尽きないですね。

ただ、地裁の判決なので、
高裁や最高裁まで行くかも知れません。

確定まではまだ時間がかかりそうですが、
見ている限りでは覆りそうな気がしないw

編集後記

ということで『過度な相続対策に赤信号?評価通達6項が摘要!』でした。

実は法人にも『行為または計算の否認』というモノが存在しますが、
ここまで顕著に税額を動かせるようなものはないので、
インパクトがでかいですねw

しれっと出てますが、コレ何気にヤバいです。
このスキームって、巷にあふれてますから。

この方の場合は、もともと資産家だったのに、
このスキームで納税を0円にしてしまったので、
目立ったんだと思います。

要はやり過ぎですw

このスキーム使っている資産家は気が気じゃないでしょうね。
一つ基準で4倍程度の乖離というのが出てしまいましたので、
ご自身のヤツがどうなっているのか確認して見ることをオススメします。