年金400万以下は確定申告不要?続・確定申告無料相談会に駆り出された話。

税金の話
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江戸川区葛西のギタリスト税理士 中村剛士です。

昨日に引き続き、今日も確定申告無料相談会でした。
2日連続で1日200人程度の申告を10人の税理士で行いました。

単純計算すると2日合計で40人の申告をしたわけですが、
『年金の金額が400万円以下で、その他所得が20万円以下』の方が
4~5人ほどいらっしゃいました。

この場合は所得税の確定申告は不要で、
住民税の確定申告だけすれば良いのですが、
ご存じない方が多いようで、
この制度は全く浸透していないんだなと思いました。

そこで今日は、その辺についてまとめたいと思います。

年金400万円以下はなぜ確定申告不要なのか?

これは平成23年に創設された『確定申告不要制度』によるものです。

下記をご覧ください。

平成23年分以後は、その年において公的年金等に係る雑所得を有する居住者で、
その年中の公的年金等の収入金額が400万円以下であり、かつ、その年分の公的年金等に係る
雑所得以外の所得金額が20万円以下である場合には確定申告の必要はありません。

国税庁HP<公的年金等の課税関係>より抜粋

そのままですが、年金の『収入金額』が400万以下で、
その他の『所得』が20万円以下である場合には確定申告が不要になります。

年金で400万円の収入というのは、かなりの高額収入です。

国民年金のみではまずあり得ない数字で、
厚生年金+企業年金があって初めて行くような数字ですので、
普通の人は大体この要件は満たします。

問題は次です。
その他の『所得』が20万円以下というのは結構縛りがきつい方だと思います。

給与であれば、85万円以上貰っていたらアウトです。
申告しなければなりません。

他にも、保険金の満期が来た場合や、
不動産所得で20万円超えてしまうケースなどが考えられます。

このような方は納税になることがほとんどですので、
確定申告が必要となります。

つまり、この確定申告不要制度は
『普通の年金しか貰ってないような人は、確定申告しなくて良いよ』
という国の優しさですね。

とはいえ、国の優しさに騙されるな!

『なんて優しいんだ』と思うかもしれませんが、国側にも思惑があります。

申告しない人が増えれば増えるほど、税務署が楽になりますね。
経費削減です。

これは良いと思います。
こっちも楽になる話ですから。

もう一つが問題です。
還付金を減らしたいという思惑があります。

一定数いるであろう『面倒くさいから申告しない』層を
合法的に認めてしまったために、本来であれば還付になる方も
申告をしないというケースが多くなっています。

『医療費控除などを別途受ける場合には申告できます』と記載だけはありますが、
果たして何%がやることやら・・・

住民税の申告は別途必要なので注意!

皆さん住民税の申告ってしたことありますか?

ないですよね?

なくていいんです。
サラリーマンであれば、会社が『給与支払い報告書』というモノを
提出しますので、それが申告の代わりになりますし、
個人事業主であれば、所得税の確定申告書を提出すれば、
住民税の申告書と同義と見做すという規定があります。

しかし、確定申告不要制度によって、
所得税の確定申告をしなくて良いとされた場合は、そうはいきません。

所得税の確定申告をしないので、
当然住民税の申告もないものとなってしまいます。

確定申告不要制度は所得税だけの話ですので、
確定申告不要制度を適用した場合には、別途住民税の申告が必要となります。

編集後記

ということで、
『年金400万以下は確定申告不要?続・確定申告無料相談会に駆り出された話。』
でした。

年金400万以下の方の正しい選択は、
『とりあえず申告書を作ってみて、
納付になるようであれば所得税は申告不要を選択し、
住民税だけ申告する』でしょうね。

実際に、無料相談会ではこの対応です。
電子申告せずに紙で出して、江戸川区の人に丸投げですw

それにしても2日連続はキツい・・・
来年は日程を考えよう。