金地金スキーム逝く。消費税還付に網

税金の話
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2019年10月4日(金)

こんにちは!江戸川区葛西のギタリスト税理士 中村剛士です。

今日は私が役員をやっている朝会の下半期がスタートでした。

皆で目標数値を決めたりして、盛り上がりました。
今後どんな展開になるか、今からワクワクしています。

その後はメンバーとのミーティングを重ね、夕方息子を迎えに行きました。
今日は例の幼児教育無償化の対象外になっている類似施設で芋掘り遠足だったので、
イレギュラーながらも、妙典までお迎えでした。

さらに、朝会のイベントが夜にあったので、
湯島に向かい、その後飲み会という

何だかよく分からない1日となりました。

さて今日は、以前から気になっていた件で
追加の判決が出ていましたので、
それのシェアをしておきたいと思います。

『金地金スキーム逝く』というお話です。

消費税の仕組み

何度かブログに書いてきましたが、
消費税はこんな仕組みになっています。

今見て気付きましたが、8%のままだw
10%で作り直さねば。

さておき、
『売上に係る消費税ー仕入に係る消費税=納付税額』
となるということはお分かり頂けるかと思います。

では、『売上にかかる消費税<仕入に係る消費税』
だった場合はどうなるのでしょうか?

そんな事あるの?と思うかも知れませんが、
消費税的には車を買った場合なども『仕入』と捉えますので、
このケース結構あります。

正解は『消費税の還付を受けられる』です。

売上に係る消費税:100、仕入に係る消費税:500だったとすると、
100-500=-400ですので、400の還付を受けることが出来るのです。

消費税還付を狙ったスキーム

この消費税還付ですが、法律の抜け道を通すスキームと
それに対する網掛けのイタチごっこをやっています。

何かというと、『賃貸マンション購入に係る消費税還付』です。

ザックリ解説すると、
居住用マンションの収入は消費税が非課税となっています。
そして、このような非課税の売上が立つものに対する仕入については、
仕入税額控除できないというのが大原則です。

つまりは、賃貸マンションを購入しても、
そのマンション購入に係る消費税は控除できず、
当然、還付もされないということになります。

マンションですから、当然それなりの金額になります。
例えば1億円だったら1,000万円が消費税です。
これ、還付になったら良くないですか?

還付に出来るスキームがあるんですって言われたら、
やりたくなりますよね?

実際今までかなりの額がこのスキームで還付になっていると思います。

しかし、本来は還付にしたくないというのが国側の考えですので、
何度も網が係って規制されてきました。

最初は『自販機スキーム』と呼ばれていた方法が流行り、
平成22年改正で網がかかりました。

その後『2年待つスキーム』が生まれ、
平成28年改正で網がかかりました。

そして今、全ての規制の網を潜った『金地金スキーム』に対して
否認されている裁判例が増えてきました。

金地金スキームについては解説しません。
ググってください。

法律の規定をそのまま読めば、
確かに成立するスキームなんですよね。

初めて見たときは感動しましたw
良くここまで考えたものだと。

いつかはダメになると思いましたが、
意外と早かったですね。

判決要旨

一部を抜粋して簡略化しました。

課税関係においては、租税負担の公平の維持が強く要請されるところ、
一部の納税者によって租税負担の軽減のみを目的に他に合理的な理由が存在しないにもかかわらず
異常な取引がなされた場合に、そのことを看過すると、正常な取引を行っている納税者との間に
租税負担の大きな不公平が発生するなど、課税上弊害が生ずることとなる。
したがって、租税負担の減少のみを目的とし、他に合理的な理由が存在しないにもかかわらず
租税負担を減少させた場合には、租税負担の公平を著しく害する特段の事情がある場合に当たり、
そのような特段の事情がある場合には、本件通達規定ただし書を適用しないものとするのが
相当である。

要は『消費税還付を目的として金地金の売買しても、還付させねーよ』
ということです。

法人税には『行為または計算の否認』という伝家の宝刀がありますが、
今回の判決で消費税にも『租税負担の公平を著しく害する』というモノが加わりました。

完全にこっちサイドでコントロールできないヤツです。
流石に頻出するモノではありませんが、
向こうが切れるカードが一つ増えました。
『法の抜け道スキーム』のリスクが爆上げですね。

ビビってるマンションオーナーが結構いそうな予感w
これから刺される件数増えると思います!

編集後記

ということで『金地金スキーム逝く。消費税還付に網』でした。

諦めて適切な税金払いましょうって事ですね。

以前出た判決では、
税理士がこのスキームを専門にやっていたということも要因に挙がっています。

還付金の20%とか報酬取ってたんでしょう。
コレで追徴分も負担すると思うと胸熱ですねw

今後も、こういった『うまい話』が出てくると思います。
リスク承知でやる分にはOKですが、
何も理解しないままホイホイ手を出すのは止めましょうね!