売上を水増ししたいときもある!けど、バレたらどうなる?

税金の話
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江戸川区葛西のギタリスト税理士 中村剛士です。

以前ブログに書いた、船橋の方からご連絡いただきました。
某フランチャイズ系税理士に突然見捨てられた方です。

あの後、数名の税理士と面談したそうですが、
ありがたいことに、私を選んでいただいたようです。

再度訪問し、今後について打ち合わせする事になりました。

それとは別に、今日も1件新規の方と面談してきました。

詳細は書けませんし、
明日1件確認の電話をしないと結論が出ないのですが、
こちらは受けられないかもしれません。

難しいです。

さて、今日は『諸事情により売上を多く見せたい』みたいなときに
どうなるのかをまとめてみたいと思います。

売上を抜くのは脱税。では売上を水増しするのは?

粉飾決算ですね。

銀行からの借り入れをしたいときや、株主に対して良い格好したいときなどに行われます。

不正会計ですから、バレたらヤバいことになります。
最近だと、東芝が記憶に新しいですね。

良くある手口が『循環取引』です。

A社→B社→C社→A社と商品を循環させる事で、売上の水増しを謀ります。

A社→B社へ100万円で売却
B社→C社へ100万円で売却
C社→A社へ100万円で売却

このように、A社の商品を循環させることで、
三社の売上が100万円ずつ増えました。
同額の仕入が増えますので、利益には影響ありません。

商品はA社に戻ってきていますので、
前後で何も状況は変わっていないにもかかわらず、
見かけ上の売上が大きくなっています。

帳簿上は『C社より仕入れ』となるため、
しっかりと帳簿を付けておけば、比較的バレにくいのがこれの特徴です。

しかし、B社C社の利益率が極端に低くなる(上記の例だと利益0%)ため、
そこからバレることが多いです。

この他にも、お互いの商品を買い合う『バーター取引』というのもあります。

A社とB社の決算期が違えば、
お互いの決算前に売上を大きく見せることが可能です。

このケースは、不自然な帳簿の動きとなりますので、
比較的バレやすいかもしれません。

売上の水増ししたらどうなるの?

上の例では、単純に同額での循環としましたが、
実際には少し利益を乗せるケースがほとんどです。

そうすることで、よりバレにくくなるからです。

利益が出てしまうので、その分税金が高くなりますが、
それは覚悟の上ということなんでしょう。

では、コレがバレたときにはどうなるのでしょうか?

脱税の場合は、バレたら罰金と利息が取られるというのは
以前ブログにも書きましたね。

でも、今回は逆ですよね?
架空の利益を計上(『仮装経理』と言います)して、その分税金を納めています。

ですので、国は基本的に何も文句を言ってきません。

多く納め過ぎている税金を正しくする手続きとして
『更正の請求』というモノがありますが、
仮装経理したので直しますというのは、国としては面白くありません。

ですので、罰金ではありませんが、ペナルティがあります。

本来は『更正の請求』をすると、その納め過ぎている税金は還付されます。
お金が戻って来るのです。

しかし、今回のようなケースでは、還付されることはありません。
来年以降の税金から控除する流れになりますので、
資金繰りの面で厳しい措置になっているということです。

架空の利益計上がヤバいのは分かった。でも、経費を抜くのは?

同じ効果があるモノとして『経費を抜く』ということが考えられます。

コレはコレで問題なのですが、
私は『あり』だと思っています。

経費にするorしないは最終的には経営判断ですので、
『仮装経理』とは違うモノだという解釈です。

ただし、抜く場合は2つ覚悟しておいてください。

抜いた分は社長に対する『貸付金』になる

抜いた分は個人的な出費扱いになりますので、
会社が社長にお金を貸した状態になります。

決算時点で残高が残っている場合は、
会社に対して利息を支払わなければなりませんので、注意が必要です。

抜いた分を『やっぱり後から追加』は出来ない

抜いて申告してしまったら、それを後から追加は出来ないと思ってください。

絶対に税務調査ではじかれます。
売上との対応関係が明確に出来ないからです。

仕入れを抜いた場合には、後日立証できるかもしれませんが・・・

編集後記

ということで『売上を水増ししたいときもある!けど、バレたらどうなる?』でした。

東芝クラスになると、影響がデカすぎますが、
中小企業レベルではそこまで問題にならないかもしれませんね。

とはいえ、不正は不正ですから、
やらないに越したことはないのですが。

あっ!一応言っておきますが、
冒頭の方が粉飾決算しているわけではありませんのでw