江戸川区葛西のギタリスト税理士 中村剛士です。
昨日は以前からお世話になっている保険代理店の方と打ち合わせをしてきました。
皆さんは保険に対してどんなイメージですか?
「何となく勧誘されそう」とか、
「無理矢理契約させられそう」とか、
そんなネガティブなイメージでしょうか?
それとも、「万一の時の備えとして必要」とか、
「貯蓄性を期待している」とかでしょうか?
色々あると思いますが、今日は
『節税対策としての保険の功罪』ということで、
法人の節税で利用される保険について、私の思いをまとめてみます。
保険料を支払った!経理処理は?
保険には『生命保険』と『損害保険』があります。
それくらい知っているよ!と思いましたね?
では、保険料を支払ったときの経理方法にいくつか種類があることをご存じですか?
ざっくり言うと、
□ 全額経費になるモノ
□ 半分しか経費にならないモノ
の2種類あると思っておけば良いでしょう。
100万円の経費なのか50万円の経費なのかは、
中小企業にとってはインパクトがデカいので、
保険料を支払ったときには、どちらのタイプの保険なのか確認するようにしましょう。
被保険者や保険金を誰が受け取るかで処理方法が変わるのですが、
詳細は割愛します。
顧問税理士に聞いてください。
では、全額経費と半分経費は何が違うのでしょうか?
これもざっくり言うと、
□ 掛け捨ては全額経費
□ 貯蓄性があるモノは半分経費
と思っておけば良いでしょう。
最近は貯蓄性があるけど全額経費でOKな商品もありますので、
契約書を必ず確認したいところです。
節税対策としての保険の功罪
節税対策として使われるのは、保険の中でも『貯蓄性のあるモノ』です。
保険料として支払った金額が、数年後100%近く戻ってくるタイプの保険です。
これも、契約によって何年後に何%戻ってくるのかが違います。
以下では、金額をシンプルにして見ていきましょう。
年間200万円×5年=1,000万円支払うと、
5年後に1,000万円戻ってくる保険だとします。
税金から見る功罪
年間200万円支払いますので、半分経費であれば100万円が経費となります。
当然、経費が増えれば税金が減りますので、節税成功です。
しかし、5年後に1,000万円戻ってきたときはどうでしょうか?
払ったときに経費ですから、その逆で利益になります。
半分経費であれば500万円の利益です。
そうです。結局のところ、5年後に課税されてしまうのです。
これが税金から見る功罪です。
確かに支払ったときは節税効果があります。
しかし、戻ってきたときには利益になって課税されますので、
『課税を後送りにしているだけ』なんだということに気づきましょう。
さらに言うと、戻ってきたときには
今まで経費にしてきた分がまとめて課税されるので、
税率が上がる可能性が高いです。
現在、中小企業の実効税率(法人税、住民税、事業税の合計負担割合)は以下の通りです。
利益が400万円以下・・・21.4%
400万円~800万円以下・・・23.2%
800万円~・・・33.5%
見ての通り、400万円、800万円、それ以上の3つに分かれています。
上記の保険が戻ってきた場合、500万円が利益になりますので、
税率のステージが上がりますよね?
最悪、節税時は21.4%で、戻ってきたときは33.5%みたいな事が起こります。
出口戦略が重要ということですね。
キャッシュから見る功罪
税金面では罪の方に力が入っている感じでしたが、
キャッシュから見るとイコールでしょう。
その年だけでなく、毎年200万円のキャッシュアウトが
生じるという事を考えなければなりませんが、
5年後には1,000万円戻ってきますので。
その間、税金を後送りにできているので、
利息としても十分かと。
ましてや、保険料を払っている間は保障が付きますから、
むしろトータルでは勝っていると捉えることもできますね。
功罪は分かった。で、税理士的にはどうなの?
自らも代理店となって、積極的に保険を売っている税理士もいれば、
保険は嫌いだからやらないという税理士もいます。
私はどちらかというと後者です。
保険を売ると、代理店手数料が結構貰えるようなのですが、
税理士の仕事じゃねぇだろ?と思っています。
以前の職場で資格だけ取らされましたので、
自分で生命保険を売る事はできますが、
正直よく分かっていないので、プロに任せたいですね。
また、こっちのコントロールが効かないというところも好きではありません。
例えば5年後に100%返ってくるタイプの保険であれば、
最初の1~2年で止めてしまった場合は、
戻ってくる金額がほぼ0に設定されていることが多いです。
極端な例でいくと0、0、0、90、100みたいなカーブになります。
最初は良くても、3年後に大赤字を出してしまった・・・
なんて想像するだけでゾッとします。
あとは、半分経費が気にくわないというのもあります。
200万円払っても節税効果は最大30万円程度です。
だったら他にやることあるんじゃないの?と思っています。
こんな感じなので、私から保険の提案が出るのは
他のことをやった後になります。
もちろん、上記を理解した上で保険に入りたいというのであれば
止めませんし、信頼できる保険屋さんを紹介するようにしています。
編集後記
ということで『節税対策としての保険の功罪』でした。
勘違いしないで欲しいのですが、保険自体が嫌いなのではありません。
『節税したい→保険入りましょう』の流れが嫌いなだけです。
実際に私も保険に入っています。
しかも、生命保険、医療保険、個人年金、学資保険とオンパレードで。
『必要な人に必要な額だけ』が保険だと思いますので、
冒頭で出てきた保険屋さんに、一度見直して貰うことにしました。
皆さんも、職場環境や家庭環境が変わったタイミングで
保険の見直しをしてみては如何でしょうか?
コメント
[…] 昨日の『節税対策としての保険の功罪』で 他にやることあるだろ!と書きましたので、 今日はその一つ『経営セーフティ共済』についてまとめておきたいと思います。 […]