欠損金の繰越控除の絡みで債務免除した話

税金の話
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こんにちは!江戸川区葛西のギタリスト税理士 中村剛士です。

今日は7月の最終日ということで、
5月決算法人の申告期限となります。

基本的には末日まで引っ張ることはないのですが、
ちょっと社長に確認と提案をしていた都合で、
今日申告するという、ちょっとバタバタしていた一日でした。

電子申告は申告書への押印が不要となりますので、
今日は電話報告です。

先日お会いしての報告時に大枠はOKでしたので、
最後の一点を修正しての申告となりました。

何をやったのかというと、会社に対する債務免除です。
社長が会社に貸した(事になっている)金額を免除したのです。

さて今日は、何故こんなことをするのかということを交えながら、
『欠損金の繰越控除』についてお話ししたいと思います。

欠損金の繰越控除とは?

各事業年度において、所得(もうけ)が出た場合には、
その所得に対して、法人税がかかります。

その逆に、欠損金(損失)が出てしまった場合は、
その分の税金が返ってくるということはなく、
翌期以後の所得と相殺されるという制度があります。

コレが『欠損金の繰越控除』です。

こんなイメージです。

このように、損失が生じた場合には、
来年以降の所得と相殺できるのです。

コレがあることで、
2年間トータルの所得が0になり、税金も0になりますので、
辻褄が合うということになります。

この繰越が効くのが、損失が生じた年度の翌年度から9年間です。
つまりは今回の例でいえば、平成22年5月に生じた
欠損金の繰越控除が期限を迎えることになります。

※ 平成30年4月1日以後開始事業年度以降の欠損金は10年になっています。

今回債務免除した理由

今回のケースでは、過去のマイナスがずっと残っていて、
今年の決算で繰越期限が切れてしまう状態でした。

そして、社長が会社に貸している(事になっている)金額が
かなりありましたので、正直返済の当てがありません。

このまま放置すると、将来的に相続財産になってしまいますので、
こんなときにやるのが債務免除です。

将来的に利益が出る可能性がありますので、
債務免除するのは期限が切れてしまう欠損金部分のみというのが普通です。

そうこうしている間に相続が来てしまうこともありますので、
綿密な計画が必要ですね。

編集後記

ということで『欠損金の繰越控除の絡みで債務免除した話』でした。

社長借入金があるにもかかわらず、
債務免除を検討しない税理士はクソです。

税理士変更で過去の申告書を見せて頂くと、
やっていないケースが散見されます。

記憶にあるだけでも、昨年1件一昨年2件はありましたね。

私が関係しただけでコレですから、
世の中にはどれくらい存在していることやら・・・

原因は相続を知らない税理士が多すぎることと、
会社だけ見てれば良いと思っている税理士が多すぎることですね。

個人法人を総合的に勘案して
戦略立てていくのが仕事だと思うんですが、
中々そうも行かないようでw

基本的なことくらいは勉強しておいて欲しいですね。

皆さんはこういう適当な税理士に騙されないようにしましょうw