江戸川区葛西のギタリスト税理士 中村剛士です。
昨日は節分でしたね。
鬼の面を被り、豆を投げつけられた方も多いことでしょう。
一方で問題になっているのが、恵方巻きの廃棄問題です。
毎年あれだけ問題視されていながら、今年も結構な量の廃棄があったと
ニュースで騒いでいますね。
生ものですので、廃棄自体はどうしても起こります。
これは避けられません。
コンビニ業界だけでなく、飲食店もそうですし、
青果店、生花店などもそうですね。
ある程度の予測に基づき、廃棄が少しでも少なくなるように
頑張っているのでしょうが、恵方巻きやクリスマスケーキなどは
毎年取り沙汰されていますね。
郵便局員による年賀状の自爆営業などと同じで、
上からのプレッシャーが高く、見込み販売数よりも
多く仕入れさせられているのだと思います。
まぁ、上の方は知らぬ存ぜぬですけど。
今日は、そんな廃棄問題を税金の面から見てみたいと思います。
廃棄って税金的には良いの?ダメなの?
先にも書いたように、廃棄そのものをなくすことはできないでしょう。
毎日予測したとおりにものが売れる訳がないのです。
また、恵方巻きのようにいまいち流行っていないにもかかわらず、
業界全体で流行らせようとしているモノなどは、
仕入れ数と販売数に大きな乖離が生じてしまいます。
『売れないと分かっているものを大量に仕入れ、廃棄する』
字面が悪すぎますね。
何故このようなことが起こっているのでしょうか?
もう少し深掘りしていきましょう。
仕入れた金額がそのまま経費になるわけではなく、
在庫を除いた、売上に対応する部分のみが経費になるのです。
在庫については、来年以降に売れれば、その年度の経費となります。
というところまでは以前の『エフェクタービルダーのための確定申告入門』
で書きました。
では、在庫を廃棄した場合はどうなるのでしょうか?
A:売れてはいないので、経費にならない?
B:廃棄した部分は丸損だから経費になる?
正解は、Bです。
そうです。売れていなくても、廃棄してしまった部分は経費になるのです。
売れようが売れまいが、モノが出て行った部分については経費になるということですね。
つまり、この『売れないと分かっているものを大量に仕入れ、廃棄する』という行為は、
税金面から見ると何の問題もないということになるのです。
国が「恵方巻きの廃棄部分は経費に認めません」と言えますか?
ピンポイント過ぎるので無理でしょう。
では「廃棄自体を経費と認めない」はどうでしょう?
これも、無理ですね。
冒頭でも少し触れましたが、廃棄自体は日常的に起こるモノです。
これを経費にできないとなると、世の中から小売店が消えます。
これでは、日本自体が成り立たなくなりますので、
経費にならないということはあり得ないのです。
本当に問題ないの?
税金的には何の問題もないということをお伝えしてきましたが、
正確には『税金計算のシステム上は』何の問題もありません。
システム上問題がないので、ここからは私見になってしまうのですが、問題大ありです。
いくら廃棄が経費になるとはいえ、『捨てている』んですよ?
コンビニで考えてみましょうか。
一説にはコンビニの原価率は70%程度で、
その他にロイヤリティーや人件費等の諸経費が掛るため、
営業利益(コンビニ業でのもうけ)は2%~5%程度といわれています。
例えば売価300円の恵方巻きだったとすると、
5%でいくと15円が利益となりますので、
残りの285円が原価ということになります。
1本売ったときの利益が15円で、1本廃棄したときの損が285円。
1本廃棄があった場合、19本分の売上が吹っ飛びます。
20本仕入れて、19本売れても、1本廃棄しただけで利益0円。
18本売れて2本廃棄したら利益どころか、マイナスです。
かなり単純な例にしていますが、賽の河原より酷い状態ですね。
これがまかり通っています。
コンビニオーナーからしたら、たまったものじゃないでしょうね。
笑っているのは恵方巻きメーカーと本部だけです。
当然、損が出れば税金も少なくなりますので、
日本全体のトータル税収も少なくなっていることでしょう。
ヤバいと思いませんか?
正直、恵方巻きとか止めれば良いのにと思いますが、そうはいかないですからね・・・
もっと問題が大きくなれば快方に向かうのでしょうか?
我々の意識の問題だと思います。
編集後記
ということで、豆を投げつけられながら
こんなことを考えていた鬼が1人いたというお話でした。
どうでもいい話ですけど『年の数だけ豆を食う』って年々辛くなりますよね。
おじいちゃんとかになると、最早殺人兵器の域ですよ。
黒豆は1つで10歳分とかにならないですかね?
もしくは納豆でも可とか。