最強の節税か?小規模企業共済ざっくり解説。

税金の話
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江戸川区葛西のギタリスト税理士 中村剛士です。

この時期は個人の方から確定申告についての
ご相談を受けることが多いです。

昨日もそんなお客様の元にお邪魔して、
色々と打ち合わせをしました。

個人の場合、私が必ずオススメしている制度があります。
『小規模企業共済』です。

昨日の方はやっていなかったのですが、
個人がやるべき最強の制度だと思っていますので、
その辺解説したいと思います。

当然昨日の方にはオススメしときましたw

小規模企業共済ってどんなメリットがあるの?

国の機関である『独立行政法人 中小企業基盤整備機構』が運営している制度です。

小規模企業の経営者や役員、個人事業主などのための、
積み立てによる退職金制度といわれています。

中小機構曰く、「今日からお得な制度です。」だそうです。

中小機構の説明とは違いますが、私的に何がお得なのかというと、

□ 掛金が全額所得控除になる

□ 最大で掛金の120%が戻ってくる

□ 戻ってきたときは『退職所得』となる

の三点でしょう。

一つずつ見ていきましょう

掛金が全額所得控除になる

小規模企業共済の掛金は、納付した年の所得控除となるため、
『納付掛金の額×個人の所得税率』だけ節税の効果があります。

掛金は月額1,000円~最大70,000円まで、500円刻みで自由に設定できますので、
年間84万円×税率が最大の節税となります。

20%の方は168,000円の節税、
23%の人は193,200円の節税ができるということですね。

税率の一番高いところが削れますので、所得が高ければ高いほど効果も高いです。

しかも、この掛金は戻ってきますので、
『外部に積み立て貯金したら、税金も安くなる』というイメージです。

最大で掛金の120%が返ってくる

退職金制度ですので、掛金が戻ってくるのは将来の話になりますが、
納付期間に応じて最大120%が戻ってきます。

例えば、年間84万円を20年納付し120%になったとすると、
84万円×20年×120%=2,016万円になります。

結構デカいですね。

ただし、納付期間によっては元本割れするケースもありますので、
注意が必要です。

戻ってきたときは『退職所得』となる

掛金納付時は、『所得控除』になりますが、
戻ってきたときは逆に『所得』になります。

税金が掛るということですね。

何だよ!意味ないじゃん!と思われるかもしれませんが、
これが『退職所得』になるというのが実はもの凄いメリットです。

それは、『退職所得』の税負担が、他の『事業所得』などよりも
格段に低く設定されているためです。

担税力の違いといいますが、退職金は老後の生活資金であるため、
多額の税金を負担させるのは如何なモノか?という配慮がなされています。

具体的には『(退職金ー退職所得控除)×1/2』が課税対象になります。
ちなみに退職所得控除は20年までは年間40万円で、それ以降は年間70万円です。

上と同じく、年間84万円を20年納付したとすると、
84万円×20年=1,680万円の退職金を受け取ることになりますが、
課税されるのは(1,680万円ー控除額800万円)×1/2=440万円となります。

小規模企業共済をやっていなかった場合には1,680万円に対して税金が掛りますので、
如何に低く設定されているかがお分かりいただけると思います。

とかいっても、何かデメリットもあるでしょ?

えぇ、あります。
とは言え、メリットの方がデカいと思いますが。

□ 元本割れの可能性がある

□ 長期のキャッシュアウトを伴う

□ もらい方によっては『退職所得』にならない

くらいがデメリットといえばデメリットでしょうか。

元本割れの可能性がある

これは、中小機構のHPにもしっかり記載があるのですが、
20年(240ヶ月)未満の場合、元本割れします。

ただし、『任意解約の場合は』です。

「やっぱやーめた」の場合は
納付期間に応じますが、80%~90%程度しか戻ってきません。

これに対し、例えば、個人事業を廃業するなど、
いわゆる『退職』に該当する事由であれば、
240ヶ月以内であったとしても100%以上で戻ってきます。

長期のキャッシュアウトを伴う

240ヶ月以上納付するというのはかなり大変です。
20年ですからね。

余裕があるうちは良いのですが、
払いがキツくなって止めてしまうケースがあります。

これでは上の『任意解約』になってしまいますので、
正直もったいないです。

月の掛金は1,000円から行けますので、
払いがキツくなったら、減額して240ヶ月凌ぎましょう。

もらい方によっては『退職所得』にならない

将来的に共済金を受け取るときに、何種類かもらい方が選べます。

一括、分割、併用の3パターンです。

一括で貰う場合は『退職所得』になりますが、
分割で貰う場合は『公的年金等の雑所得』となり、
毎年税金が掛る可能性があります。

併用については、両方ですね。
一括分は『退職所得』、分割分は『年金雑所得』となります。

また、任意解約の場合などは『一時所得』となり、
『退職所得』ほど優遇されませんので注意が必要です。

とはいえ、どれであろうが『事業所得』よりは優遇されますので、
結局のところ、メリットの方が大きいと思います。

じゃぁ、俺もやるよ!と思ったら。

加入資格がありますので、詳細はここを見てください。

ざっくり言うと、個人事業主と中小企業の役員(要登記)でないと加入できません。

加入資格があるよ!という方は、近所の銀行でも取り扱っていますが、
本人確認等が面倒くさいと思いますので、税理士を使いましょう。

東京の場合、東京税理士協同組合が代理店をやっていますので、
面倒な手続きを税理士が代行できます。

銀行がやるべき本人確認を税理士がやった体にして、
書類を出すだけで完了しますので、オススメです。

「やっとことがないので分かりません」といわれた場合は、
「協同組合に電話して書類を送って貰え!」と言いましょうw

 

編集後記

ということで、ざっくり小規模企業共済の解説でした。

冒頭でも書きましたが、
加入できる方はマストな制度だと思います。
こんな優遇されている制度は他にないですからね。

余裕があれば月7万円、なければとりあえず1,000円で始めましょう!